介護の求人は数十年前から尽きる事はありません。
いつでもどこの施設も人手不足で悩まされています。いったいなぜ働き手がいないと思いますか?
答えの一つとして“お給料が安い”事が挙げられます。
他の業界と比べると介護の仕事は安いと言われています。
しかし中には年収500万円以上もらっている方も珍しくありません。
そこで、今回はどのような仕事や役職に就けば年収500万円を超えるのか?を紐解いていきたいと思います。
今回は数字や難しい話がやや多いですが、簡単にご説明したいと思います。
日本の平均年収から介護福祉士の年収を考える
介護職の年収と日本人の平均年収について比較していきたいと思います。まずは日本全体のサラリーマンの平均年収を見ていきましょう。
2019年の9月に国税庁が行った民間給与実態調査によると、2018年度の日本人の平均年収は約441万円という結果となりました。
調査から過去3年の調査結果を見てみましょう。
2016年(平成28年度)の男女別の平均年収
【男性は約521万円、女性は約280万円、平均年収は約422万円】。
2017年(平成29年度)の男女別の平均年収
【男性は約531万円、女性は約287万円、平均年収は約432万円】。
2018年(平成30年度)の男女別の平均年収
【男性は約545万円、女性は約293万円、平均年収は約441万円】、となっております。
介護士でも年収500万円以上の人はいる!
厚生労働省が調査した【平成30年度の介護従事者処遇状況等調査結果】を見てみますと、介護士の平均年収は【約330万円】という統計結果が出ています。
1ヵ月の賃金に換算すると約28万円です。「1ヵ月28万円って結構良いお給料じゃない?」「介護士っていうほどお給料悪くないのでは?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
私も数字だけ見ると確かに魅力的だと感じます。
では全国の介護士は皆さんこれだけのお給料を頂いているのか、と言われるとそうではありません。しかしこれはあくまで“平均年収”です。
年収が高い方は500万円を超えていますし、低い方の年収は200万円を切っています。同じ介護士でもこれだけ年収に差が生まれています。
介護施設の収入はどこから来ているの?
介護報酬
施設の収入は介護保険制度によって決められています。
簡単にご説明すると“利用していただいたら1日〇〇円”といった具合です。単純に20名利用される施設でしたら、一人当たりの金額×20名分になります。
これらは介護保険サービスとよばれ“介護報酬”としての収入になります。
故に施設単体の介護報酬としての売上はサービスの利用者数で変動致します。
では利用者をどんどん増やせばよいのでは?と考えられるかもしれませんが、“利用者〇〇人に対して職員は最低〇人配置”と配置基準が設けられております。
従って利用者の数を増やすなら職員もそれだけ増やさなければならないのです。また、施設の大きさによって利用できる人数も限られていますので“増やせばよい”という訳にはいかないのです。
介護報酬以外での収入は?
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の利用料などは運営側が決める事が出来ます。これら利用料は介護保険サービスとは関係ありませんので制限はございません。
介護福祉士がお給料をもっと稼ぐ方法とは?
年収を上げるための働き方をいくつかご紹介致します。
母体が大きい施設を選べば年収もアップする!
まずは体力がある法人を選ぶ事は重要です。母体が大きい施設とは例えば病院が運営している施設、幅広く展開している施設等が該当致します。
私事ですが仕事柄施設の経営をされている方々と良く会う機会がございます。話の内容は“経営”や“施設運営”についての話が殆どです。
母体がケチで職員のお給料がさほど他の施設と変わらない施設もありますが、大体は福利厚生やボーナスがしっかりしている所が殆どです。
一つの施設しか運営していない場合、そこの売り上げが伸びないと最悪お給料が1ヵ月遅れで振り込まれるような事態が生じます。
しかし大きな母体がバックについている施設だと、単体の売り上げが望めなくても補填できるような体力があるので法改正で給付費の変動があろうと安心できます。
夜勤を増やして給料を上げる
病院や介護施設は入居されている方がいらっしゃいます。
夜中に何かトラブルや体調が悪化してしまう可能性がありますから夜勤も介護士が在籍しております。
労働基準法では午後10時~午前5時までの労働は深夜労働とみなされます。故に「夜勤手当」が付与されます。
お給料を上げる方法の一つとして深夜労働を増やす事がまず挙げられます。
夜勤は人手も少ないし、平和な時は平和です。何かトラブルがあれば夜勤でやろうとしていた仕事が殆ど予定通りに行かなくなります。
しかしこれらは経験を積む事で克服する事が可能です。
ちなみに私が働いている施設でも過去に「お給料が沢山頂きたいので夜勤ばかり勤務に入れてほしい」と申し出がありました。
夜勤労働をする事で付与される手当の額ですが施設によって異なります。
「夜勤1回につき〇〇円付与されます」や「ご自身のお給料の何割増しです」など様々です。
これから転職して面接を受けられる方は求人票、現在働いている方は就業規則に記載されているので確認してみると良いでしょう。
資格手当を増やす
介護業界では資格を持っている人が多く在籍している施設には介護報酬を少々上乗せする制度がございます。
資格を沢山持っている人に“資格手当”が付与される背景には施設側にもメリットがあるからなのです。もちろん、スキルや知識があるとより良いサービスが提供できる面もあります。
ただし介護関係ならどのような資格でも良い訳でもありません。加算の対象となる資格が定められております。それに該当しなければ資格手当が付与されない施設もありますから確認しておくと良いでしょう。
手当の金額についてですが、資格の数だけ付与される所もあれば、いくつ持っていても一律の金額など事業所によって様々です。
管理職で夜勤をしても給料は増えない
「管理者で夜勤する事が一番お給料高いのでは?」と考えられる方もいらっしゃるでしょう。
しかし管理者は役職手当が付与されているケースが殆どです。故に夜勤をしても“管理職扱い”になっているため夜勤手当が付与される事はありません。
介護福祉士が普通に働いていては年収500万円以上は難しいのか?
ここまで介護福祉士としてお給料を上げる方法についてご説明してきました。
入社2~3年目の現場職員では年収500万円は中々いないのではないかと感じます。
介護業界は職員の経験年数でスキルを計る傾向が強い業界です。「Aさんは経験年数ながいから賞与は〇〇円」といったイメージです。
また、近年新しく出来た“処遇改善特別加算”も職員の経験年数で算定できる加算です。
経験や技術がある方の処遇を更に良くしようという位置づけです。
この事からも長く勤めるとお給料が上がる業界だ、という事がお分かりいただけると思います。
年齢が上がると役付きになる事や複数展開しているエリアのマネージャー等、出世していくことがあります。
そのような方ですと年収500万円という方は珍しくありません。
とにかく勤続年数を上げて年収を上げること!
いかがでしたでしょうか?
介護士の平均年収が330万円、平均年齢が40代半ばという数字を元にご紹介致しました。介護職員の離職率を止めるため、長く働くメリットが徐々に明確になってきている傾向があります。
平均給与が28万円となっていますが所得に差がある事は確かで、その差とは勤続年数や経験年数に準じている傾向が強いと感じています。
能力がある職員が評価される時代ですが、収入額が決まっているため若くして年収500万円は中々難しい側面があります。
じっくり働く事で徐々に年収や評価も上がっていく事は介護職に限った事ではないと思いますので、焦らずスキルアップを目指していけば自ずと年収は上がっていきます。